【徹底解説】DJI Zenmuse L3の性能と活用用途
世界屈指のドローンメーカー「DJI」が作った、DJIによるDJIドローンのためのDJI製LiDARレーザースキャナの最新作です。
普及機の価格帯にもかかわらずハイエンド級の性能を持ったモンスターマシン。
その魅力と活用の可能性に迫ります。
この記事でわかること
- Zenmuse L3の特徴と進化ポイント
- レーザー測量と写真測量の違い
- 点群データの活用メリット
- 高精度な測量性能と各種スキャンモード
- 購入・レンタル時のポイント
目次
DJIの最新LiDARレーザースキャナー「Zenmuse L3」登場
2025年11月、DJIから最新のLiDARレーザースキャナー「DJI Zenmuse L3」が発表されました。
「そもそもレーザースキャナーとは?」という方から、
「Zenmuse L2と比べて、どこが進化したの?」という方まで。
本記事ではZenmuse L3の特徴や活用シーンをわかりやすくご紹介します。
測量、土木、林業、インフラ点検など、さまざまな現場で活用が期待されるZenmuse L3。
その魅力を一緒に見ていきましょう。
レーザー測量とは?

レーザー測量とは、LiDARと呼ばれる技術を用いて、対象物までの距離や形状を計測する測量方法です。
LiDARでは、レーザー光を対象物に照射し、その反射を計測することで、地形や構造物の形状を高精度に取得します。
照射されるレーザーの数は、1秒間に数万発から数百万発にもおよびます。大量の反射情報を取得することで、対象物の立体的な形状を細かく把握できるのが特長です。
このLiDARをドローンに搭載して行うのが、ドローンレーザー測量です。
写真測量との違い

ドローン測量には、写真をもとに3Dモデルやオルソ画像を作成する「写真測量」という方法もあります。
写真測量との大きな違いは、レーザー測量では植生の下にある地形を捉えやすいという点です。
例えば、樹木が生い茂る林を写真測量した場合、取得できるのは基本的に樹木の表面形状です。
一方でレーザー測量では、レーザー光が葉や枝の隙間を通り抜け、地表面まで届くことがあります。そのため、伐採や伐開を行わなくても、森林内の地形データを取得できる可能性があります。山林、法面、河川、造成地など、地形の把握が重要な現場では非常に有効な手法です。
点群データで「現場を丸ごと持ち帰る」

レーザー測量によって生成されるのは、点群データと呼ばれるものです。
点群データとは、位置情報を持った点の集合体のこと。
ひとつひとつの点が緯度・経度・高さなどの情報を持っており、それらを集めることで現場の形状を立体的に再現します。
取得した点群データは、専用ソフト上で断面確認や距離計測、土量計算などに活用できます。
いわば、現場をデータとして丸ごと持ち帰るようなイメージです。
現地での測り忘れや、後から確認したい箇所が出てきた場合の手戻りを減らせる点も、大きなメリットです。
DJI Zenmuse L3

DJI Zenmuse L3は、高解像度の広角デュアルカメラとLiDARレーザースキャナーを一体化した、DJIの最新マルチ計測ペイロードです。
DJI純正ソリューションのため、DJIドローンシステムとの親和性が高く、機体・ペイロード・解析ソフトまで一貫した運用が可能です。

Zenmuse L3は、2026年5月現在、Matrice 400専用ペイロードとして展開されています。
前モデルであるZenmuse L2の正統進化モデルとして、測距性能、取得密度、カメラ性能など、さまざまな面で大幅な進化を遂げています。
まずは、レーザースキャナー部分の進化ポイントを見ていきましょう。
レーザースキャナー性能の進化
| 項目 | Zenmuse L2 | Zenmuse L3 | 進化ポイント |
|---|---|---|---|
| レーザー波長 | 905 nm | 1535 nm | 長距離計測に対応 |
| 最大測距距離 10%反射体 | 約450 m | 約950 m | 高高度・長距離からの計測が可能 |
| 最大リターン数 | 最大5リターン | 最大16リターン | 植生下や複雑な対象物の取得性能が向上 |
| レーザースポット径 | - | L2比で約1/5 | 電線など小さな対象物の検出力が向上 |
| 照射角 FOV | 70° | 80° | 1回の飛行で取得できる幅が拡大 |
Zenmuse L3では、L2と比較してレーザー性能が大きく向上しています。
特に注目したいのが、最大16リターンに対応している点です。
リターン数が多いほど、レーザーが樹木下の地面に届いて反射する確率が高まるため、植生下の地形や複雑な構造物の把握に有利になります。
また、レーザースポット径が小さくなったことで、電線や細い構造物など、これまで捉えにくかった対象物の検出力向上も期待できます。
森林、インフラ、法面、複雑な構造物など、より高度な計測が求められる現場で力を発揮するペイロードです。
データの精度
座標値の精度は、メーカー公称値で垂直3cm/水平4cmという値が出ています。
実際に当社で検証したところ、垂直方向RMSEで約1cmという良好な結果を得ました。
これは公共測量の作業準則における要求精度を満たす水準ですので、当然ながら測量機として優秀な性能を持つことが確認できました。


多彩なスキャンモードに対応

Zenmuse L3では、用途に応じて複数のスキャンモードを使い分けることができます。
| モード | 主な用途 |
|---|---|
| 反復モード | 広範囲を効率的に計測したい場合 |
| 非反復モード | 狭い範囲を高密度に計測したい場合 |
| 米字モード | 広範囲計測と高密度計測のバランスを取りたい場合 |
新たに追加された米字モードにより、従来以上に現場条件に合わせた柔軟な計測が可能になりました。
- 広く効率よく取りたい
- 狭い範囲をしっかり高密度で取りたい
- その中間くらいでバランスよく取りたい
といった目的に応じて、最適なスキャン方法を選択できます。
飛行中に点群の取得状況を確認できる

Zenmuse L3では、DJI独自のリアルタイム点群プレビュー機能に対応しています。
レーザー測量で避けたいのが、事務所に戻ってデータを確認したときに、
「必要な箇所が取得できていなかった」
「思ったよりデータが抜けていた」
と気づくケースです。
Zenmuse L3では、飛行中に点群の取得状況を確認できるため、現場で簡易的にデータの抜けをチェックできます。
もちろん、最終的な品質確認は解析後に行う必要がありますが、現場で取得状況を確認できることは、手戻り防止の大きな助けになります。
デュアルRGBマッピングカメラを搭載

LiDARで取得した点群データは、色を持たない点の集合体です。
そのため、点群に色情報を付与したり、同時にオルソ画像を作成したりするために、可視光カメラが一体化した製品が増えています。
Zenmuse L3では、このカメラ性能も大きく進化しています。
前モデルのZenmuse L2がシングルカメラだったのに対し、Zenmuse L3ではデュアルRGBマッピングカメラを搭載。
2つのカメラがわずかに外向きに配置されており、より広範囲を効率よく撮影できます。
| 項目 | Zenmuse L2 | Zenmuse L3 | 進化ポイント |
|---|---|---|---|
| カメラ数 | シングル | デュアル | 撮影効率が向上 |
| 画素数 | 20MP | 100MP | 高精細な画像取得に対応 |
| センサーサイズ | 1インチ | 4/3 CMOS | より精密な色情報の取得が可能 |
| FOV 視野角 | 73.7° | 107° | 広角撮影により効率が向上 |
高性能なカメラを搭載しているため、LiDAR点群の取得だけでなく、高精細なオルソ画像や地形追従のためのDEMデータの生成にも活用できます。
1回のフライトで、点群・画像・地形データなど、さまざまな情報を取得できる点は、Zenmuse L3ならではの大きな魅力です。
ジンバル型ペイロードだから広がる活用の可能性

Zenmuse L3は、単なる地形計測用のレーザースキャナーではありません。
Matrice 400専用のジンバル型ペイロードであるため、LiDARレーザースキャナの角度や向きを制御しながら、さまざまな方向から対象物を計測できます。
これにより、地形だけでなく、橋梁、鉄塔、法面、プラント設備、文化財、大型構造物など、複雑な形状を持つ対象物の計測にも活用が期待できます。
また、長距離計測性能を活かせば、ドローンを対象物に過度に近づけることなく、安全な距離からデータを取得できる可能性があります。
立ち入りが難しい場所、接近にリスクがある場所、保存記録を残したい施設などにおいて、デジタルツイン作成や点検記録としての活用も期待できます。
機体に固定するタイプのレーザースキャナーとは異なり、ジンバル制御によって柔軟な計測ができる点は、DJI純正ペイロードならではの強みです。
解析ソフト「DJI Terra」による処理が無償付帯

Zenmuse L3で取得した生データは、DJI純正の点群解析ソフト「DJI Terra」で処理します。
DJI Terraを使用することで、取得データを点群データとして解析し、他の点群処理ソフトで扱いやすい形式へ変換できます。
また、Zenmuse L3で取得したデータについては、DJI Terraでの解析が無償で利用できる点も大きなポイントです。
通常、点群解析ソフトは導入コストが高額になることも多いため、解析ソフトまで含めて運用しやすいことは、導入時の大きなメリットといえます。
対応機種について
2026年5月現在、Zenmuse L3はMatrice 400専用ペイロードです。
Matrice 300 RTKやMatrice 350 RTKをお使いの方は、Zenmuse L3をそのまま搭載することはできません。Zenmuse L3の導入をご検討の場合は、Matrice 400とのセット導入が基本となります。
既存のMatrice 300 RTK、Matrice 350 RTKを活用したい場合は、Zenmuse L2の導入も選択肢となります。
Zenmuse L3の購入・導入はスカイシーカーへ
Zenmuse L3は専門性の高い製品のため、DJI Enterprise製品を取り扱う正規代理店の中でも、一部の販売店での取扱いとなります。
スカイシーカーでは、Zenmuse L3のご購入が可能です。
機体・ペイロードの販売だけでなく、導入時の運用説明や講習を含めたオールインワンパッケージでのご提案も可能です。
- 自社の業務に合うのか知りたい
- L2とL3のどちらを選ぶべきか相談したい
- Matrice 400とのセット導入費用を確認したい
といった段階でも、お気軽にご相談ください。
お見積りは無料です。
Zenmuse L3のご購入やお見積りはこちら
まずはレンタルで試すという選択肢も
- 本格導入の前に、一度現場で使ってみたい
- 特定の案件だけスポットで使いたい
- 購入前に、実際のデータや運用感を確認したい
そのような方には、レンタルでのご利用もおすすめです。
スカイシーカーレンタルでは、Matrice 400とZenmuse L3のレンタルに対応しています。
1泊2日からご利用いただけるため、検証や短期案件にも活用しやすいサービスです。
購入するほどではないけれど、現場で使ってみたい。
そんなときは、まずレンタルから始めるのも有効な選択肢です。

まとめ|Zenmuse L3は、測量・点検現場の新たな選択肢
Zenmuse L3は、レーザー性能、カメラ性能、スキャンモード、DJI Terraとの連携など、前モデルから大きく進化した最新のLiDARレーザースキャナーです。
測量、土木、林業、インフラ点検、構造物調査など、幅広い分野で業務効率化とデータ活用の可能性を広げてくれる製品といえます。
- 高精度な点群データを取得したい。
- 植生下の地形を把握したい。
- 危険箇所や複雑な構造物を安全に計測したい。
- 購入前にレンタルで試してみたい。
そのような方は、ぜひスカイシーカーへご相談ください。
Zenmuse L3の導入からレンタル、運用サポートまで、全国対応でご提案いたします。