ドローンの「型式認証」と「機体認証」の違いとは?役割とメリットを徹底解説

ドローンの「型式認証」と「機体認証」の違いとは?役割とメリットを徹底解説
ドローンの世界では、2022年12月の法改正以降、「型式認証」や「機体認証」といった言葉を耳にする機会が格段に増えました。

しかし、「名前が似ていて、どちらが何のために必要なのかよくわからない」と混乱している方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、この2つの違いは「メーカー側の責任(量産設計)」か、それとも「ユーザー側の責任(個別の機体)」かという点にあります。

いわば、自動車の「新型車の設計図が合格すること」と「個別の1台が車検に通ること」の違いのようなものです。この違いを正しく理解しておかないと、飛行申請でつまずいたり、無意識に法令違反をしてしまったりするリスクもあります。

この記事では、それぞれの役割や具体的なメリット、そして現在認証を取得している代表的な機体まで、ポイントを絞って徹底解説します。

この記事でわかること

  • ドローンの「型式認証」と「機体認証」の違いと、それぞれの役割
  • 認証の有無で飛行申請や手続きの手間がどう変わるのか
  • 型式認証機を選ぶことで得られる具体的なメリット
  • 国家資格と機体認証を組み合わせた際の運用上の優遇ポイント

ドローンの安全を担保する「2つの認証」の基本

型式認証 機体認証 基本

ドローンの認証制度を一言でいうなら、「そのドローンが安全に空を飛べる品質かどうかを国が証明する仕組み」のことです。

自動車に例えると・・・

  • 型式認証 =
    「メーカー」が受ける新型車の設計検査 (例:トヨタが「プリウス」という車を設計し、量産しても安全だと国に認めてもらうこと)
  • 機体認証 =
    「ユーザー」が受ける一台ごとの車検 (例:あなたが所有する「倉敷 500 あ 12-34」のプリウスが、今もしっかり整備されているか検査すること)

なぜ2つに分かれているのか?

もし「機体認証(車検)」しかなかったら、ユーザーはドローンを買うたびに、何百項目もの設計図やテストデータを国に提出して「この設計は安全です!」と証明しなければなりません。これは個人ではほぼ不可能です。

そこで、まずメーカーが「この設計図で作るドローンはすべて安全です」という型式認証を先に取得してくれます。
その合格済みの機体をユーザーが使用することで、個別の機体認証を受ける際の手続きが大幅に簡略化(あるいは一部免除)されるという仕組みになっているのです。

ポイント:

  • 「型式認証」はメーカーが頑張るもの
  • 「機体認証」は私たちユーザーが自分の機体に対して受けるもの

混同されやすい「機体登録」は「誰のドローンか」を明らかにする制度で、車で例えると新規ナンバープレートの取得のようなものです。

認証があると何が変わる?「飛行申請」の負担を大幅カット!

ドローンを飛ばす際、特定飛行を行う際は、本来であれば国に「飛行許可・承認」の申請をしなければなりません。

認証を受けていない機体であっても、この申請を行って許可をもらえば飛ばすことは可能です。
では、なぜ「機体認証」を受けるのでしょうか?

その最大の理由は、「面倒な手続きを省略して、スマートに飛ばせるようになるから」です。

国家資格のみを保有していても、飛行申請は「簡略化」できない

パイロットが国家資格を保有していても、機体認証を受けていないドローンでは、申請を簡略化することはできません。

「この機体の安全性については国が確認済みです」という機体認証と国家資格である「無人航空機操縦者技能証明」の2つがセットになって、はじめて飛行申請の簡略化がされ、審査もスムーズに進みます。

スカイシーカーが運営する「Sky Seeker Academy(ドローンスクール)」は国土交通省の登録講習機関です。

メーカーが取得する「型式認証」とは?

メーカー取得 型式認証

「型式(かたしき)認証」は、ドローンのメーカーが、その機体の設計や製造プロセスについて国から受ける承認のことです。

「この設計図通りに作れば、何度作っても同じ安全な機体が出来上がります」ということを国が保証する制度なので、いわば「設計図の合格証」といえます。

現在、私たちが仕事や趣味で使う機体の多くが目指しているのは「第二種」です。立ち入り管理措置を講じたうえで行う特定飛行(カテゴリーⅡ)を目的としています。

一方、第一種は市街地での物流(ドローン配送)など、特別なミッションのための非常にハードルが高い認証です。

ユーザーにとってのメリット:手続きが「爆速」になる

「メーカーが取るものなら、ユーザーには関係ないのでは?」と思うかもしれませんが、実は大ありです!

型式認証を取得している機種(型式認証機)を選ぶと、私たちが自分で行う「機体認証」の際、以下のような恩恵が受けられます。

  1. 検査の簡略化:
    本来必要な実地検査などが免除され、書類審査がメインになります。
  2. コスト削減:
    手続きにかかる手数料が、型式認証がない機体に比べて安く設定されています。
  3. 時間の短縮:
    ゼロから安全性を証明する必要がないため、飛行までの準備期間が圧倒的に短くなります。

【実例】型式認証(第二種)を取得している代表的な機体

現在、現場でよく使われている以下の機種は、すでに第二種型式認証を取得しています。
(※一部抜粋)

DJI Mini 4 Pro

DJI Mini 4 Pro
画像出典:DJI公式サイト

Sony Airpeak S1(ARS-S1)

Sony Airpeak S1(ARS-S1)
画像出典:ソニー公式サイト

PRODRONE PD4B-ML Mark02

PRODRONE PD4B-ML Mark02
画像出典:PRODRONE公式サイト

第一種はまだ「超レア」
最も厳しい「第一種」を取得しているのは、現在ACSL社の「PF2-CAT3」という機体のみ。レベル4飛行(有人地帯での補助者なし目視外飛行)が可能。

ACSL PF2-CAT3(第一種取得)

ACSL PF2-CAT3
画像出典:株式会社ACSL

ユーザーが受ける「機体認証」とは?

ユーザー取得 機体認証

「型式認証」がメーカーによる設計の合格証だったのに対し、「機体認証」は、ユーザーが手元に持っている「その1台」に対する合格証です。

自動車でいうところの「車検」にあたり、現在の状態をチェックするものです。

手続きの流れ:型式認証機なら「書類」で完結!

機体認証を受ける際、そのドローンが「型式認証を取得しているかどうか」で、手間が天と地ほど変わります。

  • 型式認証を取得している機体の場合:
    国がすでに設計の安全を認めているため、基本的には「書類審査」のみで完了します。実機を検査場に持ち込む必要も、複雑な試験を行う必要もありません。
  • 型式認証を取得していない機体の場合:
    自分で設計図面を用意したり、実際に正しく動くかどうかの「実地検査」を受けたりする必要があります。これには多くの時間と手間、そして高い手数料がかかります。

機体認証の「有効期限」に注意!

車検に期限があるように、ドローンの機体認証にも有効期限があります。期限が切れると、特定の飛行(カテゴリーIIやIII)ができなくなることもあるため、注意しておきたいポイントです。

  • 第一種機体認証:1年ごと(より厳しいチェックが必要なため)
  • 第二種機体認証:3年ごと

どうやって申請するの?

申請は、航空局のオンラインシステム「DIPS 2.0」を通じて行います。

  1. DIPS 2.0にログイン
  2. 機体の情報(シリアルナンバー等)を入力
  3. 手数料を納付
  4. 審査を経て、認証書が発行される
  • 機体認証を受けるためには、前提として「機体登録(リモートIDの登録など)」が済んでいる必要があります。順番を間違えないようにしましょう。

型式認証機でも「機体認証」が必要なのはなぜ?

「型式認証を受けた機体を買えば、それで終わりじゃないの?」と思うかもしれませんが、ユーザーで改めて「機体認証」を取得する必要があります。

なぜ二度手間に見えるような仕組みになっているのか、その理由は主に2つあります。

「設計の安全」と「今の状態の安全」は別物だから

型式認証は、あくまで「工場から出荷される時の設計」が安全であることを証明するものです。
しかし、ドローンは使っているうちに部品が摩耗したり、メンテナンスを怠って不具合が出たりすることもあります。

「誰がどの機体を管理しているか」を明確にするため

機体認証は、機体ごとのシリアルナンバーと紐づけて発行されます。

これにより、「万が一事故が起きた際に、どの認証を受けた機体が、どのような整備状態で飛ばされていたのか」を国が把握できるようになっています。安全な空のインフラを作るための「個別の登録証」としての役割があるわけです。

「型式認証」は「機体認証」を取るための最強のパスポート

型式認証機を買う最大のメリットは、機体認証が不要になることではなく、「機体認証を取得する際の手間とコストを最小限(書類審査のみ)にしてくれること」にあります。

国家資格との組み合わせでさらに便利に!

「機体認証」はドローンの安全性を証明するものですが、ドローンの国家資格(技能証明)とセットになることでよりその真価を発揮します。

この2つが揃うことで、国から「信頼できる人が、安全な機体を使って飛ばすなら、いちいち事前の許可はいりませんよ」と認められるのです。

最大のメリット:飛行申請が「不要」になる場合も!

通常、ドローンを「夜間に飛ばす」「街中(人口集中地区)で飛ばす」「目視外で飛ばす」といった場合は、事前に国へ飛行許可を申請し、数日~数週間審査を待つ必要があります。

しかし、以下の条件を満たすと、この面倒な申請手続きをスキップできるようになります。

  • 操縦者:
    二等無人航空機操縦士(国家資格)以上の保有
  • 機体:
    第二種機体認証以上の取得
  • 飛行内容:
    DID(人口集中地区)上空、夜間、目視外、人や物件から30m以内の飛行

資格だけ持っていても、機体が認証を受けていなければ申請は免除されません。
逆に、認証機を持っていても、資格がなければ申請は必要です。
また、特定飛行によっては申請が必要なケースもあります。(イベント上空、高度150m以上、空港等周辺など)事前によく確認しましょう。

国家資格の取得はドローンスクールがおすすめ!

スカイシーカーが運営する「Sky Seeker Academy(ドローンスクール)」は国土交通省の登録講習機関です。

Sky Seeker Academy(ドローンスクール)

まとめ|これからのドローンライフを左右する「認証」の有無

これから新しくドローンを購入したり、業務に導入したりすることを検討しているなら、「型式認証(第二種以上)を取得している機体」を選ぶことを視野に入れてみてもよいかもしれません。
型式認証済みの機体を選ぶことで、以下のような「未来」が手に入ります。

  • 面倒な書類作成や実地検査からの解放:
    ゼロからの検査ではなく、書類審査メインで機体認証が受けられるため、貴重な時間を運用や練習に充てられます。
  • 飛行申請の優遇:
    国家資格と機体認証を組み合わせることで、特定の飛行条件において、許可・承認の申請が免除されるという大きなメリットが受けられます。
  • 高いリセールバリュー:
    将来的に機体を売却する際も、認証済みの機体は中古市場でも「安全の証」として信頼され、価値が落ちにくくなります。

ドローンのルールは日々進化していますが、その根底にあるのは「安全に空を楽しむこと」です。制度を正しく理解して、スマートで安全なドローンライフを送りましょう!

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